アレコレ症候群と認知症、そうならないための処方箋

 これは、過去に同じ表題で別立てブログ「薬屋のおやじのボヤキ」に書いた記事です。この記事はこちらのブログのほうが座りがいいのですが、どうしてそうしてしまったのか?もう3年ほど前のことなのですが、どうやら小生も「アレコレ症候群」に既になっているのかも。

 少々古い本ですが、平塚秀雄著「あなたはアレコレ症候群になっていませんか?」(2003年)(小学館)という本があります。
 この中で、「年齢相応のもの忘れ(=アレコレ症候群)」と「病的なもの忘れ(=痴呆)」は別物ではあるものの、その中間的なものがあるとして、次のように書かれています。

 MCI(mild cognitive impairment)という概念があります。これは年齢に比較して「異常ともいえる記憶低下」があり、家族も気づいている状態です。しかし記憶以外は、日常生活を含めて正常な活動ができます。MCIと診断された人たちは、4年で約半数がアルツハイマー病にかかるといわれており、正常な老化と痴呆の過渡期と考えることができます。

 こうしたことからして、単なるもの忘れと認知症とは別物であり、無関係と言われますが、小生思うに“アレコレ症候群が高じて認知症になる”のではないでしょうか。
 認知症の代表的なものにアルツハイマー病があります。脳が萎縮し、神経細胞の脱落が目立ち、老人斑が見られ、神経原線維変化がひどくなる、といった脳内変化が生ずるものですが、ある方がお亡くなりになった後で、その方の脳を解剖した結果、こうした病変が明らかに認められるにもかかわらず、生前は認知症の症状が全く認められず、知能テストも高得点であったという例があります。これは、別の本「白澤卓二著:100歳までボケない101の方法」で紹介されている、101歳で天寿を全うされた米国の修道女シスター・マリーさんです。この方は、好奇心旺盛で、新聞は毎日隅から隅まで読み、何事にも積極的に取り組まれ、「私が引退しているのは夜眠っているときだけよ」が口癖だったことからも分かるように、常に頭を使っておられ、アレコレ症候群にも無縁だったようです。
 これは、アレコレ症候群にならなければ、脳が病変していっても、決してアルツハイマー病が発症しないという良い事例でしょう。

 さて、“歳を食っても頭は使えば使うほど良くなる”と言われます。半分信じられないことですが、これは医学的にも一部立証されています。平塚秀雄著「あなたはアレコレ症候群になっていませんか?」から、以下、引用します。

  脳の神経細胞は歳をとっても増える! という大発見
 脳を構成する基本単位である神経細胞は、…140億個と推定されました。しかも、この数は生まれた時点で決まっていて、その後の成長の過程で増えていくことはないといわれてきました。
 神経細胞は別名、分裂終了細胞ともいいます。そしてその名前の通り、細胞分裂して増えることなく、減る一方で、20歳を過ぎると1日10万個の割合で死んでいくといわれます。しかも、神経細胞は一度死ぬと再生されませんから、加齢とともに自然に減っていくことになります。
 ところが最近の研究では、脳を構成する神経細胞は…1000億個とも推定され、脳の特別な部位の神経細胞は、成人を過ぎても増えることが段々わかってきました。これはまさに大発見!なのです。なかでも特に注目されているのが、…海馬という部位の神経細胞です。海馬は記憶に重要なところですので、これは従来の常識を破る大発見といえます。そしてカリフォルニア大学のバークレー校の実験により、刺激のある、豊かな環境におかれたネズミの海馬は大きくなる、海馬が大きいほど賢いという事実がわかってきました。
 また、海馬以外の脳でも、神経細胞のやりとりが多いとき、つまり脳を活発に活動させているときは、生き残った健康な神経細胞が、失われた回路を再構成するということもわかってきました。さらにネズミの脳は、歳をとってからでも、豊かな環境に移すとより大きくなりより利口になるということも実験によって示されたのです。…
 (別の節から引き続き引用)
 タクシー・ドライバーの脳については、イギリスの医学データでたいへん興味深い報告があります。タクシー・ドライバーの海馬をMRI(磁気共鳴画像)で調べたら、普通の人より大きいのです。いろいろな道を通り、いろいろな人に会うという新しい刺激がたくさんあるから、海馬のニューロンが増えるというわけです。
 しかも、海馬の大きさはタクシー・ドライバーの勤続年数に比例して、増大しているのです。脳は使えば使うほど、ニューロンが増えるという事実を示しています。(引用ここまで)

 ここで、海馬と記憶に関して簡単に説明しておきます。
 脳の中で記憶に最も関係が深い部位が海馬で、入ってきた情報を30秒から長くて数分程度、保持してくれます。海馬が大きくて活性化していれば、その保持時間もきっと長いことでしょう。その時間内に、その情報を長期間保持し続けるための操作、例えば、何度も頭の中で繰り返したり、語呂合わせしたり、意味付けしたりということをすれば、これをワーキング・メモリー(作業記憶)といいますが、これに成功すれば、ついに長期記憶として、脳のあちこちの所定の場所に留められることになるのです。
 なお、新たな長期記憶は雑然と保存されるのではなく、整理分類したうえで保存されるのですし、そのとき、既に保存されている関連した長期記憶が呼び戻されて再整理もされますから、様々な記憶がしっかりと定着し続けるのです。
 つまり、“絶えず新しいことを覚えよう”という意欲があり、新たな情報をそれぞれ工夫して長期記憶として定着させる努力を毎日のように続ければ、長期記憶の量は増すばかりで、もって脳全体の活性化につながり、「アレコレ症候群」とは無縁の脳に生まれ変わってしまい、賢くもなっていくのです。
 なお、長期記憶の保存容量の限界は無限大と言ってよいほど大きいです。

 最後に、“歳を食っても頭は使えば使うほど良くなる”方法とまでは言えませんが、「アレコレ症候群」克服のための7通の処方箋を紹介しましょう。引き続き、平塚秀雄著「あなたはアレコレ症候群になっていませんか?」からの要約・引用です。
1 繰り返し
 何よりも記憶したい情報を復習することで、メモ、日記、手帳などを使って何度も繰り返したり見たり書いたりすることが特に効果的です。
2 ダジャレ
 ダジャレは言葉遊びですから脳の活性化になります。また、ストレスは脳の海馬の神経細胞も破壊しますから、ストレスがかかったときほど笑い飛ばす必要があり、ダジャレやユーモアが欠かせまん。
3 カラオケ
 音楽を演奏したり聴いたり歌を唄ったりすると、脳はリラックスしたり逆に刺激されたりして、記憶力や知的能力が向上するのです。特にカラオケはストレスの発散にもなり、おすすめします。
4 外国語学習
 私たちの脳は、英語と日本語では文法が大きく異なり、全く違う思考回路を使っています。加えて、外国語を「聴く」と「話す」は別々の言語中枢が働き、両者で思考のキャッチボールが行われますから、努力しながら外国語の習得作業を続けていると、長期的な情報処理能力の効率が高くなり、脳が活性化します。
5 画像記憶
 脳には言葉の記憶とは別に画像情報を記憶するところがあります。情景を繰り返し思い浮かべる、いわゆるイメージ・トレーニングを積み、情報を画像として覚えてしまうというものです。脳を鍛えるには、これがたいへん役に立ちます。
6 脳活性食
(これについては小生の見解と異なる所が多く、一致する項目だけ紹介します。)
・血液をサラサラにし、記憶の破壊を防ぐ
 何といっても日本食が一番です。
・もの忘れの頻度はカロリー摂取量に比例する
 食べ過ぎるほどもの忘れが多くなる。少食にしましょう。
・噛むことで脳は活性化する
 脳を刺激し、活性化し、集中力を高める作用があります。
7 グーパー運動(7項目中3項目を紹介)
 海馬の神経細胞を増やすこと、脳を活性化させること、これには運動がたいへん役に立ちます。歩くだけでも効果があります。特に効果的なのは指先を動かす運動です。
 速さよりも正確さを優先し、動かしている部位を極力意識して行ってください。
・グーパー 両手を前に伸ばし、肩の高さの位置で拳を握ったり開いたりする。
・指折り   両肘を軽く脇腹に当て、掌を上向きにして開き、親指から順に小指へと折り、小指から親指へと開く。
・指つまみ 上の運動の変形で、握らないで指先を合わせて輪を作る形で行う。

 どういうわけか、アレコレ症候群の克服法というものは、「肉を避けて少食にし、よく噛む。極力運動する。ストレスは笑いで吹き飛ばす。」という生活習慣病予防全般に通ずる基本の基本と一致し、かつ、これが全てと言ってもいいくらいなのですが、それとどれだけも違わない処方箋となってしまっていますね。特異的なのは外国語学習ですが、高齢者ともなると、これに挑戦するのはちょっとしんどいですね。

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岐阜県羽島郡岐南町三宅5丁目39で、薬屋:三宅薬品をやっています。全薬工業の養生食品、養生漢方などを取り扱っています。生涯現役をモットーに、お客様皆様が百歳すぎまで健康でお暮らしいただけるよう、精一杯お手伝いさせていただきたいと思っております。無料健康相談を承っております。電話058-246-7970(電話は火曜~土曜日、9時半~18時にお願いできると有り難いです。)

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